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ドライバーなら誰もが遭いたくないのが交通事故、警察庁調査によると、2021年の全国の交通事故死者数は2636人でした。
最も交通事故死者数が多かった1970年の16,765人に比べて、大きく減少していることがわかります。
また全死者数のおよそ30%が、乗車中(二輪車・自転車は除く)に亡くなられました。
乗車中の死亡件数も年々減少傾向にありますが、以前に比べて車の安全性が高まってきたことが、大きな理由として考えられます。
車の安全性を高めるために、安全な車体の構造も含む安全装備はなくてはならないものです。
自動車メーカー各社も、独自の技術を生かした様々な安全装備を開発し、PR活動も活発に行われています。
テレビCMや新聞広告などで、目にされた人も多いのではないでしょうか。
近年では車の商品性を高める上でも、安全装備への注力は大きなウエイトを占めています。
今回は、多様化している車の安全装備について、わかりやすく解説していきます。
このページの目次
安全性の技術は、大きく分けると2種類になります
車の安全性は、大きく分けると2つの考え方があります。
1つめは実際に事故が起きた際、ドライバーや他の乗員、歩行者への被害を最小限に抑えるための技術、「パッシブセーフティ(受動的な安全)」と呼ばれるものです。
こちらには比較的古い時期から開発された安全装備が多く、以前は車の安全性を考えるうえで、とても大きなウエイトを占めていました。
また以前は、歩行者に対する配慮はあまりされていませんでしたが、最近では歩行者への衝撃削減の技術も、積極的に開発されています。
例としては、3点式シートベルト、SRSエアバッグなどが、「パッシブセーフティ」に分類されます。
もう1つは、「アクティブセーフティ(能動的な安全)」と呼ばれるもので、衝突などの事故を未然に防ぐことに重点をおいた技術です。
こちらは、「パッシブセーフティ」と比較して、新しい技術も多く見られ、電子制御を使用した安全装備が多いことも特徴です。
例としては、ABSやESC(横滑り防止装置)などが、「アクティブセーフティ」に分類されます。
今回はこの2つの観点から、安全装備を解説していきます。
パッシブセーフティの安全装備
ここでは、「パッシブセーフティ」に該当する安全装備について、代表的なもの4つを解説していきます。
3点式シートベルト
スウェーデンに本社をおく「ボルボ」が、1950年代に開発して市販車に採用した技術です。
それ以前は腰だけを固定する2点式が主流で、胸部や頭部を保護する点では、3点式に劣るものでした。
1960年代には脱着もしやすく肩と腰を固定する3点式が主流になり、現在も採用されている歴史も古い安全装備になります。
衝突安全ボディ
キャビン(乗車スペース)の強度を堅牢(けんろう)化して、車体の前後にクラッシャブルゾーン(衝撃を吸収する部分)を設け、潰れることで衝撃を吸収するボディのことです。
また側面衝突時にドアが圧迫されて、乗員が損傷することから守るため、「サイドインパクトバー」がドア内部に装備されている車もあります。
SRSエアバッグ
衝突した際に、ハンドルやフロントガラスで頭部を損傷しないように、火薬で瞬時に風船をふくらます安全装備です。
通常は運転席と助手席への装備が多いのですが、側面にも装備したカーテン式やサイドエアバッグ付きの車もあります。
最近では運転席に標準装備で付いている車が、ほとんどです。
歩行者傷害低減ボディ
車が歩行者と衝突した際に、車側が衝撃の一部を吸収することで、歩行者のダメージを軽減化する技術です。
ボンネットやバンパーに衝撃吸収する素材や構造、ワイパーを衝撃で脱落させる仕組みなど、メーカーによって様々な技術が開発されています。
アクティブセーフティの安全装備
ここでは、事故を未然に防ぐ「アクティブセーフティ」に該当する安全装備について、代表的なもの3つを解説していきます。
ABS(アンチロック・ブレーキ・システム
雪や雨降りの日などのスリップしやすい路面での運転、ブレーキを踏んだ途端に滑り、ヒヤッとした経験をお持ちの人もおみえでしょう。
ABSは、ブレーキによる車輪のスリップを自動的に検知して、電子制御により「ポンピングブレーキ(小刻みに何度かブレーキをかけること)」をして、スリップを防いでくれる装備です。
登場した頃はオプション扱いの車が多かったのですが、現代では標準装備が義務化されています。
AEBS(自動ブレーキ)
2021年11月以降に発売開始された車には、装備が義務化されています。
歩行者の飛び出しなどでドライバーがブレーキを踏むのが遅れても、ブレーキを自動的に作動させて、衝突前に減速または停止させる装備です。
ESC(横滑り防止装置)
カーブなどを走行中に外側にふくらむなど、車が不安定な挙動をして危険な状況をセンサーが察知して、ブレーキやエンジンの回転数を落とすなど、自動的に制御する装置です。
特に雪道などの滑りやすい路面では、効果を発揮します。
その他、アクセルとブレーキの踏み違いによる、急発進を防止する「急発進抑制装置」なども、最近では注目されています。
安全装備は、あくまでも最終的な切り札です
今回はいくつかの安全装備について解説してきましたが、安全装備は日進月歩で技術が開発されています。
ただし、これらの安全装備はあくまでも、ドライバーがミスをおかした際に、電子制御や機械が修正をしてくれ、身体を守ってくれるものに過ぎません。
また自動運転の技術も進んできましたが、まだほとんどの車はドライバーによる判断やコントロールが必要です。
これらの安全装備が作動する必要がない運転、危険を招かない運転を心掛けていくことが、車の安全な走行を考えるうえでも重要なことでしょう。
最後に、どれだけ技術が進歩しても、ドライバーの責任感が、何にも勝る安全装置であることをお忘れなく。