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将来的には、高速道路SA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)の駐車スペース有料化が検討されているといったニュースが報道されましたが、ご覧になられた方も多いかと思います。
その内容は、NEXCO3社を含む高速道路各社が昨年12月26日に「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する整備方針」をとりまとめ、SA・PAの混雑解消対策として中長期的に一定時間以上の利用に対する有料化や、駐車スペースの立体構造化などを検討することを発表したものです。
そこで今回は、今回の整備方針が発表された背景と現在実施されている対策に加え、実施を検討されている対策を中心に紹介いたします。
このページの目次
なぜ駐車スペースの有料化が検討されるのか
現代ではEC市場や通販市場の拡大により、大型トラックによる輸送は増加していることから、夜間を中心にSA・PA内にある大型車の駐車スペース不足が慢性化しています。
「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する検討会」の発表によると、全国にある852カ所のSA・PAのうち、大型車については平日で約5割~7割、休日でも約1割~2割のSA・PAで駐車スペースが不足しているそうです。
なお、駐車スペースが不足する原因としては、仮眠や休憩の他にETC深夜割引適用を受けるための時間調整などによる長時間駐車が考えられます。
過去にも対策を行ってきましたが、駐車スペース不足の解消には至らず、物流の効率化と2024年4月より実施される働き方改革関連法によるドライバーの労働環境改善も踏まえて、確実な駐車機会を提供するために、今回の「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する整備方針」を取りまとめて発表に至っています。
すでに行われている駐車スペース不足への対策
大型駐車マスの拡充、予約システムなどの導入
すでにNEXCO各社では、SA・PA内の大型車駐車スペースの拡充を行い、2018年度から2022年度にかけて約3,000台分の駐車マスを拡充、全国で30,000台分を確保してきました。
また、駐車場予約システムの社会実験をすでに全国7カ所で実施しており、東名高速の豊橋PA(下り)においては、2021年5月より夜間の1時間以上の利用に対して有料化も導入しています。
適正利用を呼びかける広報活動の実施など
長時間駐車や異なる駐車マスなどへの駐車車両に注意を促すために、ポスターやリーフレット、WEBサイトなどを利用して、マナー向上を呼びかけてきました。
また、駐車スペース不足を解消するために、一部道の駅への一時退出も可能とする社会実験も実施しています。
今回発表となった整備方針の概要
更なる駐車マス拡充を検討
駐車スペース不足が慢性化している現状への対策として、短期的には駐車スペースのレイアウト変更、園地部を活用した大型車駐車マスの拡充、ミニPAやICの内側を利用した駐車スペースの設置などの検討をしています。
さらに中長期的にはSA・PAの隣接地の拡張や駐車スペースの立体構造化、SA・PAの新設を検討中です。
一定時間以上の利用に対して有料化を検討
短期的な対策として、短時間利用者が多いSA・PAを対象に短時間限定駐車マスを、今後も試行導入・拡大を図っていくことを検討中です。
また、長期的な対策としては、一定時間以上の利用者を対象に有料化する制度の検討を行い、将来的には混雑しているSA・PAを対象に一定時間以上のすべての利用を有料化する方向性を示しています。
新しい情報技術も導入して混雑状況を提供
現在では本線上に各SA・PAの混雑状況を案内掲示板で情報提供していますが、今後は新たな情報技術(画像処理技術や赤外線レーザーなど)を活用した、より正確な混雑状況を把握して情報提供していくことを検討するそうです。
また、走行中の路線だけでなく、並行する路線の情報(例:東名と新東名)を提供して、平準化した利用を促進させることも検討項目に挙がっています。
まとめ
今回は、整備方針が発表された背景と現在行われている対策、今後の実施を検討されている対策を中心に紹介いたしました。
まだ検討段階とはいえ、このまま駐車スペース不足が解消されない状況が続くと、将来的にはSA・PAの駐車スペース有料化は現実味を帯びてくることが考えられます。
NEXCOの努力だけではなく、利用者側も短時間駐車マスへの長時間駐車をつつしむなど、適正な駐車スペースの利用を心がけることが必要なようです。
【参考】
● 独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する整備方針」