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自動車メーカーの社名の由来を以前にもいくつか紹介いたしましたが、国内メーカーを見渡してみると、トヨタ、マツダ、ホンダ、スズキといった創業者の名前からとられたものが多いようです。
一方で海外の自動車メーカーはといえば、ポルシェやフェラーリといった創業者の名前が由来となったものや、フィアットやVW(フォルクスワーゲン)といった、外来語だけに由来がわかりにくいものも少なくありません。
今回は以前に紹介できなかった海外の自動車メーカーについて、メーカーの歴史も織り交ぜながら紹介いたします。
このページの目次
ドイツ・フランスの自動車メーカー編
メルセデスベンツの由来
メルセデスベンツはダイムラー社が製造・販売する自動車ブランドでしたが、2022年2月にメルセデスベンツグループへと社名変更が行われています。
メルセデスベンツの「ベンツ」は、1886年に世界で初めてガソリン自動車を開発した創業者カール ベンツが由来です。
一方で「メルセデス」という名称は、ダイムラー車のディーラー経営者エミール・イェリネックの娘「メルセデス・イェリネック」から取られています。
ポルシェの創業者はVWビートルの生みの親でした
ポルシェといえばドイツを代表するスポーツカーメーカーですが、正式な社名はDr. Ing. h.c. F. Porsche AG 、日本語に直訳するとフェルディナント ・ポルシェ名誉工学博士株式会社となります。
創業者であるフェルディナント・ポルシェが由来となっていますが、フェルディナント ・ポルシェは初代VWビートルを設計しており、偉大な国民車ビートルの生みの親ともいえるのです。
アウディも創業者名が由来でした
VWグループの一角を担うアウディは、創業者のアウグスト・ホルヒが3年間のメルセデスベンツでの経験をもとに、1899年に独立してホルヒを設立しました。
ところが経営陣との対立からホルヒ社を退任、新たにアウグスト・ホルヒ・アウトモービルヴェルケを立ち上げます。
その後、ホルヒ社から社名が紛らわしいと抗議を受け、ラテン語でホルヒェン(聴く)と同じ意味を持つアウディに社名が変更されました。
また、1932年にアウディはホルヒ、DKW、ヴァンダラーの3社と集結して「Auto Union(アウトウニオン)」を立ち上げ、現在でもアウディのシンボルマーク「フォーシルバーリングス」が4社集結の意味を表しています。
フランスのプジョーも創業者名が由来
フランスを代表する自動車メーカーのプジョーは、創業者のアルマン・プジョーが社名の由来になっています。
1810年にフランス東部で家族経営の製鉄業として創業したプジョーは、コーヒーミルや自転車などの製造を行い、現在でも同社のマスコットのライオンマークを付けてプロデュースしていました。
その後、アルマン・プジョーが1889年に蒸気三輪車を開発して、パリ万博で披露したことが、自動車メーカー参入のきっかけとなったそうです。
ちなみに、同じフランスのルノーはルイ・ルノー、シトロエンもアンドレ・シトロエンと、創業者の名前が由来となっています。
アメリカ・イギリスの自動車メーカー編
フォードも創業者名が由来です
アメリカのビッグ3の一角を担うフォードは、1903年にヘンリー・フォードによって設立されました。
1908年に販売開始されたT型フォードは、世界で初めての流れ作業による大量生産に成功して、低価格で高品質なクルマとして大ヒットさせ、その後もマスタングなどを発売してヒットさせていますが、現在は日本市場への正規輸入から撤退しています。
ロールスロイスは創業者2人の名前が由来
イギリスの高級車メーカーとして世界的に有名なロールスロイスは、1906年に設立されましたが、創業者のチャールズ・スチュアート・ロールズ(ロールス)とフレデリック・ヘンリー・ロイスの名前が由来となっています。
また、同社のブランドロゴ「RR」も、2人の頭文字を合わせたものです。
ジャガーはネコ科の動物ジャガーが由来
イギリスの高級車メーカーのジャガーは、1922年にスワロー・サイドカー・カンパニーとして設立されましたが、その後はSSカーズに社名変更されて1935年に、動物のジャガーが持つスピード感やスマート感から命名された新型車ジャガーを発売して人気を博しました。
ところが第二次世界大戦が始まると、SSカーズの社名が当時の敵国であったドイツ・ナチスを連想させることから、1945年に社名をジャガーカーズに変更されています。
イタリアの自動車メーカー編
フィアットは「トリノの自動車製造所」の頭文字
イタリアを代表する自動車メーカーのフィアット(FIAT)は1899年にトリノで設立されましたが、社名の由来は「Fabbrica Italiana Automobili Torino(トリノの自動車製造所)」の頭文字をとったものとなります。
アルファロメオは創業時の社名はアルファでした
1910年にミラノで設立された当初は、「Anonima Lombarda Fabbrica Automobil(ロンバルディア自動車製造有限会社)」の頭文字をとったアルファ(ALFA)が社名でしたが、第一次大戦が勃発してクルマの販売が落ち込みました。
経営危機に陥ったアルファを実業家のニコラ・ロメオが救ったことから、1919年にアルファロメオに変更されて、現在は巨大自動車グループFCAのブランドとして魅力的な車種をプロデュースしています。
まとめ
今回は以前の記事で紹介できなかった海外の自動車メーカーについて、社名やブランド名の紹介をいたしました。
海外の自動車メーカーをみてみると、フランスを筆頭に全体的には創業者名の由来が多い中でも、イタリアのフィアットやアルファロメオの様に、創業した場所が社名に盛り込まれているメーカーもあるなど、バラエティに富んでいることがおわかりいただけたかと思います。
みなさんの愛車、社名の由来がわかることで、これまで以上に愛着が湧くとよいですね。
【参考】
● 国立国会図書館|レファレンス協同データベース 「海外自動車メーカーの社名、ブランド名」