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EU(欧州連合)では2022年10月の欧州議会において、乗用車や小型商用車の新車については2035年までにCO2(二酸化炭素)の排出量をゼロにする規制を行い、HEV車やPHEV車を含むエンジン搭載車の販売を禁止することをEU加盟国と合意しました。
しかし、今年3月28日のEUエネルギー相理事会で、条件付きでエンジン搭載車の販売を2035年以降も認めるという大きな方針転換が起こっています。
また、EUの2022年乗用車の燃料別登録台数が発表されましたが、HEV車(ハイブリッド車)やBEV車(バッテリー式電気自動車)の販売は、好調であったようです。
今回はEUの2035年エンジン搭載車販売禁止問題についての他に、2022年EU自動車市場での燃料タイプ別登録台数を中心に紹介いたします。
このページの目次
efuel(イーフューエル)使用車は2035年以降も販売を容認へ
EUの方針転換の内容について
今年2月にEUの自動車王国であるドイツが、CO2を実質的に排出しない合成燃料のefuelを燃料とするするエンジン搭載車の販売を、2035年以降も認めるべきだと主張していました。
3月のEUエネルギー相理事会において、当初のエンジン搭載車全面販売禁止からefuelを使用するエンジン搭載車については販売を容認すると、フランスやポルトガル、スペインなどの賛成多数で可決して、エンジン搭載車の全面販売禁止より方針転換を行っています。
一方で、バイオ燃料を使用する車については、従来の方針通りに2035年以降の販売を禁止する意向です。
efuel(イーフューエル)とはなにか?
efuel(イーフューエル)とはあまり聞き慣れない言葉ですが、CO2と水から電気分解したH2(水素)を合成させて製造される燃料のことです。
燃焼時にはガソリンと同じくCO2を発生させますが、製造過程でCO2を利用するため、実質的にCO2の排出量はゼロといわれています。
また、既存のガソリン車で使用できることと、ガソリンスタンドなどの設備もそのまま利用できること、ガス燃料や燃料電池よりもエネルギー効率がよいことなども大きなメリットです。
しかし、大量生産するには巨額の設備投資が必要なこと、価格が高いH2の大量な供給が必要なことなどから、我が国の資源エネルギー庁の試算によると、現状では1リットルあたり300円~700円と製造コストが高くつくことが最大のデメリットです。
EU自動車市場の2022年燃料タイプ別新車登録台数は?
EU市場ではガソリン車・ディーゼル車が前年よりも減少
欧州自動車工業会が今年2月1日に発表した、EU26カ国(マルタは除く)の2022年燃料タイプ別新車登録台数では、総登録台数は925万7,208台となっています。
構成比では最も多かったのがガソリン車で、全体の36.4%を占めていますが、2021年の41.1%よりも4.7%減少しました。
また、ディーゼル車は構成比で3番目に多く、全体の16.4%となっており、2021年の17.1%よりも0.7%の微減となっています。
両方を合計した登録台数は約490万台で全体の52.8%と、まだ全体の半数を上回りますが、登録台数ではガソリン車で約337万台と2021年より12.8%減少、ディーゼル車は約152万台と2021年より19.7%の減少となりました。
HEV車・BEV車・PHEV車はいずれも前年よりも増加
続いてHEV車は、全体の構成比では2番目に登録台数が多く22.6%を占める結果となり、2021年の20.4%よりも増加しました。
また、BEV車も12.1%と2021年の9.4%よりも増加で初めて10%を突破、PHEV車も9,4%と2021年の9.2%と増加しています。
この中でもBEV車は登録台数約112万台と、2021年の約87万台から大幅に増加しており、初めて100万台の大台を超えました。
なお、BEV車がEUで増加した要因としては、ドイツなどでPHEV車への購入助成金が減ったため、BEV車を選択する人が増えたことが考えられるようです。
まとめ
今回はEUの2035年エンジン搭載車販売禁止問題やefuel(イーフューエル)の解説、2022年EU自動車市場での燃料タイプ別登録台数について紹介いたしました。
2035年まではまだ時間があるためEU各国の思惑によっては、エンジン搭載車の販売については、まだまだ動きがあるかもしれませんが、今後の課題のひとつでもある、efuel(イーフューエル)の大幅な製造コスト削減が、大きなカギを握っているといえるでしょう。
【参考】
● 経済産業省資源エネルギー庁「エンジン車でも脱炭素?グリーンな液体燃料「合成燃料」とは」